笠原しい

 

　個展やグループ展での発表の他、海外のレジデンシー、アートフェスティバル等参加。
広告や雑誌、装丁画、携帯待受画像、iPhoneケースなどのメディアで作品採用。
近年、立体作品の制作やテキスタイルデザインなども開始、その活動は多岐にわたる。

　無意識下での言語を超えたコミュニケーションが彼女の求めるものである。
無意識への興味は幼少の頃に見た夢から。夢を入り口に「無意識＝シュールレアリスム」の在り方を知る。彼女は、シュールレアリスムの自動記述のように、自らの意思を出来るだけ排除し、意図しないことで無意識下にあるもの画面に引き出す。完成形をイメージせず、何気ないひとつの動作が次の動作を生み、その繰り返しで、作品は出来上がっていく。出来たものと対峙して、そこから受ける印象を言葉に置き換えてタイトルとしている。詩的なタイトルは、その世界に入るスイッチのような役割を果たしている。

 

■主な個展

2019年   Ich heiße Sie / Galerie 21  [Hamburg, Germany]

2018年  うたうように描いて 描くようにつくる / gallery art and wonder［世田谷］

2016年  多元宇宙のこことそこ -closet- / art gallery closet［西麻布］
　　　  多元宇宙のこことそこ -#605- / Kurum'art Contemporary［六本木］
2015年  月香る窓辺にて幻と語らん / 画廊香月 [銀座]
2014年  ねぇ、もっと深いところへ行ってみましょうよ / 新宿眼科画廊 [新宿] 
2012年  しるしと園 / GALLERY TRINITY [六本木]
2011年  共鳴する私達 / GALLERY TRINITY [六本木]
2010年  シリアスの水辺に砂糖菓子をどうぞ / GALLERY TRINITY [六本木]
             みずうみ /GALLERY TRINITY [六本木]
2009年  野辺 /GALLERY TRINITY [六本木]

 

 

　笠原しいの個展は、フジギャラリー新宿では初めてです。「海の絵が欲しい」とおっしゃるクライアントに提案するため、お願いしたのが始まりでした。

　「ちょうど海を描きたいと思っていた」という笠原。

　コロナ禍で外出自粛が求められる中、自宅に「海」を感じたいという方は多いのでは、と、個展企画が始まりました。

海といっても、いろんな海があります。

　それは、それぞれの思い出の海。

 

　故郷の海。

　夏休みに行った、祖母の家の近くの海。

　家族で海水浴に行った海。

　初めての海外旅行で行ったハワイの海。

　新婚旅行で行った沖縄の海。

　行ったことはないけれど、憧れるギリシャの海。

　初めて我が子を連れて行った、どこかの海・・・

　いますぐにだって行きたい、そこの海、かもしれません。

　

　

　海は不思議です。日本は島国で海の真ん中にあるわけです。なのに海が見えると声が出ます。

　海育ちの人は自慢げで、新幹線から見える海は待ち遠しい。海岸線のない県の人は憧れ、海が見えるホテルはそれだけで価値があり、それでいて時に厳しさを見せる海。

 

　海はみんなの思い出をすべて呑み込んで、そこにあり続けます。

　みんなの思い出を包み込む、「海」が、並びます。